麦穂9月号巻頭言 平和の祈り 主任司祭 細井保路

2022/9/11

                コンポスト                              細井保路(ほそいやすみち)  しばらく朝のウォーキングをさぼっていたので、夕方に野島の展望台まで歩いてみました。久しぶりに広々とした空の下で夕日を眺めるのはとてもいい気持ちでした。ふと気がつくと、たくさんのツバメが空を飛び回っていました。そういえば、山梨の教会にいた頃、毎年秋になると、飛び交うツバメが急に目立ち始めたことを思い出しました。群れはどんどん大きくなって、ある日突然、南へ旅立ってしまうのです。自然の一部であるはずの私たちは、自然界の不思議や美しさに日々触れることができるのに、ほとんどそれを忘れて過ごしています。ツバメの群れに遭遇して、改めてそのことに気づかされました。  一昨年より、9月1日(日本の教会では9月の第1日曜日)の「被造物を大切にする世界祈願日」から10月4日のアシジのフランシスコのお祝い日までの一か月を、教会は、「すべてのいのちを守るための月間」とし、神さまが造られそして私たちに与えてくださったこの世界を大切にする決意を深めるよう呼びかけています。  私たちの無反省なライフスタイルや、倫理観を忘れてしまった自然開発が、環境破壊と貧しい人たちの生活の圧迫を加速しています。環境を守ることと貧しい人たちを気遣うことは切り離すことのできない課題です。ちょっと古くなりますが、3年前の「貧しい人のための世界祈願日」の教皇様のメッセージを引用します。  「この世界祈願日にあたり、わたしたちは自分が本当に貧しい人の声を聞くことができるかどうか見極めるために、良心を深く糾明するよう招かれています。  貧しい人の声を聞き分けるためには、聞く側が静かにする必要があります。多くの取り組みは、自己満足のために行われていると、わたしはしばしば感じています。鏡に映った自分を見て、自分自身のことばかり考えるよう仕向ける文化にとらわれているために、自分が直接にかかわらなくても、利他的なしぐさをするだけで十分だと考えてしまうのです。」  今月から私も、ちょっと自己満足的な環境問題への取り組みを始めました。庭の柿の木の下に、コンポストを設置しました。私の台所から出る生ゴミや庭の落ち葉をポリ袋に包んで出すかわりに、堆肥にして自然にかえします。皆さんもどうぞ活用してください。

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