麦穂6月号巻頭言 スカシユリ 主任司祭 細井保路
2026/6/14
スカシユリ 主任司祭 細井保路(ほそいやすみち) 梅雨空の下の庭で、ひときわ鮮やかに明るいオレンジ色の花を咲かせているのがスカシユリです。漢字で書くと「透かし百合」となります。花びらの付け根までがしっかりと見えて少し隙間もあるので、その明け透けな感じからこの 名前になったのだそうです。しかも、百合の花は大抵少し下を向いて咲くのに、スカシユリは、しっかりと上を向いて咲いています。 香りは全くなく、他の花のように風にやさしく揺れるというわけでもありません。自ら匂い立つような花ではないので、今までは、あまり気にとめていなかったのですが、台風6号が去った後に、変わらず真上を向いて咲いている姿を見て、被造物のお手本のような花だと気づいたのでした。 私たちと神さまとの関係は、神さまが命を与えてくださり、しかも養ってくださるのですから、そのことに気づき、その恵みを精一杯受けとって、感謝することこそ、まず第一にすべきことです。天を仰いで、降り注ぐ恵みを一身に 受けとめようとしているかのようなスカシユリの姿は、まさに、私たちのあるべき姿を示してくれているようです。 先日の、ご聖体の祭日のミサの第一朗読は、申命記の8章でした。「人はパンだけではなく、主の口から出るすべての言葉によって生きる」という有名な言葉が記されている箇所です。イスラエルの民にとって、荒れ野の旅の途中で飢 えたとき、パンの代わりに、天から降って来たマナで空腹が満たされたという体験は、神さまとの関係を思い出すための大切な出来事でした。生きるために食べ、食べるために働くという当たり前のことよりも先に、私たちは生かされていることを忘れてはならないのです。「あなたが大切だ」「大好きだ」「あなたをゆるしている」という「神のことば」によって生かされているのです。そこに立ち返り、何事もそこから始めることができたならば、余計な思い煩いから抜け出すことができるのです。 生かされていることを思い出す、神さまがいつも共にいてくださることに感謝する、という基本の姿勢を忘れないようにしましょう。そのためには、スカシユリのように、いつも天を仰いでいることが大切です。降り注ぐ恵みにいつも気づいているようにしましょう。いつも感謝で心が満たされているようにしましょう。スカシユリの姿をお手本にして、神さまと神さまが創られた世界との本来の関係を私たちも体得できるようにしましょう。


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