麦穂5月号巻頭言 デルフィニウム 主任司祭 細井保路
2026/6/14
デルフィニウム 主任司祭 細井保路(ほそいやすみち) 毎年初夏には青い花が咲く花壇を作っています。ワスレナグサやネモフィラやブルーサルビアなどが咲き揃うと、満を持してデルフィニウムが咲き始めます。そうして5月の庭が完成します。 5月はマリアさまの月とされています。丈の高いデルフィニウムが咲くことで、聖母月の庭という雰囲気が増して来ます。青色はマリアさまを象徴する色とされていますが、色にはどんな意味も込めることができるので、あまり特定の意味にこだわらないほうがいいかも知れません。 マリアさまご自身についても、ややもすると私たちは、理想の信者像、理想の女性像を勝手に投影してしまいがちです。「アヴェ・マリア」の祈りには、そうならないための見事な仕掛けがなされています。 まず、このお祈りの中心は何でしょうか。オリジナルのラテン語では「Ora pro nobis」というたった3つの単語に集約されています。日本語にすると、「我等のために祈り給え」です。洗礼式の時に歌う「諸聖人の連願」の初めの部分だと言うこともできます。つまり、アヴェ・マリアの祈りは、「マリアさま、私たちのために祈ってください。」ということに尽きるのです。 「その私たちは、なんなら罪深い者ですけれど、どうか祈ってください。そして、今も死を迎える時も、どんな時も祈っていてください。」という言葉は、3語の後につけ加えられているのです。ところが日本語の悲しさで、実際のお祈りは、「わたしたち罪人のために、今も死を迎える時もお祈りください」となります。「罪人」とか「死」という言葉が、「祈っていてくださいね」という願いよりも耳についてしまうのです。 さて、肝心な仕掛けはここからです。私たちが「祈ってください」と呼びかける「マリアさま」に、勝手なイメージを押しつけないために、マリアさまのイメージは聖書の2つの場面に限定されています。ご存じのように、天使のお告げの場面と、エリザベト訪間の場面です。 天使は、「神さまはあなたと共におられます」と告げます。エリザベトは。「あなたも赤ちゃんも祝福されています」と声をかけます。つまり、マリアさまは、「神さまがいつも共にいてくださる」こと、そして「その人生は祝福されている」ということを素直に受け入れた方なのです。それは私たちにとっても一番大切なことです。改めて「アヴェ・マリア」の祈りを味わってみましょう。


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