麦穂9月号巻頭言 ジンジャー 主任司祭 細井保路
2026/9/15
ジンジャー 主任司祭 細井保路(ほそいやすみち) 草むらから昼間でも虫の声が聞こえてくると、夏が終わったなと感じます。トンボがたくさん飛び交うのを見ると、やはり夏の終わりを感じます。ツバメが電線に集まり始めるとやはり夏の終わりに気づかされます。寒くなる前に南の国に帰って行くのです。山梨に居たときに一度だけ、大量のツバメが集まって来るのを見ました。そして翌日からは姿を見せなくなりました。教会の近くの電線に集まり始めた数羽のツバメも、きっとどこかで大群と合流して飛んで行くのだろうと思います。 夏の終わりを告げてくれるものは色々ありますが、私は毎年、庭の奥からジンジャーが香り始めると夏の終わりをしみじみと感じます。真っ白な花から漂う甘い南国の香りは、逝く夏を惜しむのにぴったりな気がします。 9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」の教皇メッセージは、自然を守ることと争う心を捨てることは別々のことではないと教えています。 「戦争がもたらす傷は、戦地の遠くかなたにまで及びます。次々と犠牲者を生み、家族を引き裂き、何百万人もの人を故郷から追いやり、恐怖と不正義と分断を募らせていきます。・・・戦争は、神のかたどり、神に似せて造られた人間として生きること、いのちを尊ぶこと、わたしたちにゆだねられている大地のケア、これらに深刻な落ら度があったことの表れです。単に政治的な失敗であるだけではなく、道徳的、霊的な落ち度でもあります。戦争は、ゆがんだ欲望と、人間に与えられた自由と力の濫用に根を張るもので、平和の福音を真っ向から否定する実例です。・・・そこにあるのは限度をわきまえる感覚の喪失、意のままにしたいという思い、日先の利益の追求、神が一人ひとりに与えてくださった尊厳を認めようとしない態度です。・・・わたしたちは、平和を求め、被造物を大切にしていくために、心を新たにしていただくよう呼びかけられています。聖書はわたしたちに心を守り抜くよう訴えています。わたしたちが行うことはすべて、心から溢れ出るものだからです」(教呈メッセージの抜粋)。 神さまのいのちの内にあるこの世界を、まるごと受け止める姿勢を身に着けるならば、神さまが造られた世界を自分の意のままにしようとする傲慢な態度からも離れることができるはずです。自分の都合や欲望を最優先させないためには、自然界からのメッセージに気づく心の落ち着きが必要です。ジンジャーの甘い香りは、この時期にしか味わえないメッセージのひとつです。


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